「君の膵臓を食べたい」  

2017.02.03
「君の膵臓を食べたい」  住野よる著
所長からの推薦図書です。

題名から、何が書かれているのか想像できない。

以前に所長に薦めていただいた『とんび』は、ティッシュペーパー1箱が無くなる勢いで嗚咽し、涙・鼻水ものでした。

 

今回も本の帯には「涙する」の文字があり、感動ものだろうと想像し読み始める。 

若い二人の会話。
最初は涙よりクスクスと笑いがでる。

軽妙なやりとりに、ふむふむ上手い返しだと
病人との会話も、重くない彼の返しがとても勉強になる。
 
余命1年のさくら。
明るく快活、笑い声が、読み手にまで聞こえるよう。
 
しかし彼女の発言は、素晴らしい。
「死に直面して良かったこといえば、それだね。
 毎日、生きてるって思って生きるようになった」

これはターミナルの人が「朝が来ると生きてたって実感する」という言葉をよく聞く、
「夜寝るときは、このまま目が開かないかと思った」との言葉と共に。

普通に生きている人は、生きるとか死ぬとかにあんまり興味がない。
その日を生きることに一生懸命、生きていくことが当たり前だからだろうと。
 
彼女から多くを学ぶ。
「偶然じゃない。自分で選んでここに来た。
自分が今まで選択した結果が、今ここにいる事実。自分の意思。」

今の家族、今の職場は自分で選んだ。
その結果。
まさしく、誰のせいにもできない。誰をを恨むわけにもいかない。


 

しかしこのストーリーの最後は、当然私のような凡人には想像がつかない。

まだ読まれていない同僚のために、内容は伏せるが…

伏線はあったが、まさかの彼女の最後。(ネタバレ?)

 

涙流さず読み終えそうだったのに…

 

ここからが、涙が止まらない。まさかのテイッシュペーパー&タオルの出番である。

読み終えて装丁のイラストを見ると、ああこの二人だった。

桜満開の下で1年の寿命が全うできていたならこの光景シーンがあっただろうにと。

 

私は、もう寿命の大半を生きてきた。

あとどのように私は、日々を生きていきたいだろうか。

やり残したことはないだろうか。

 

実は、以前に自分でもやり残したことはないかと考えた時期があった。

そして思いついた。テロで物騒な時期ではあったがフランス旅行を敢行した。

まだまだ行ってみたいところがあるが、最近はまだまだ寿命があると思えて先延ばしにしてしまっている。

 

 

遺言は特に残したい言葉はない。いつも自分の言葉で伝えている。

一つあるとすれば嫌ごとばかり行っている夫へ。

 

「いつもありがとう。感謝しています。」

 

これが、言えない(笑)

 

 

看護師 J・H