「君の膵臓を食べたい」 住野よる著
所長からの推薦図書です。
題名から、何が書かれているのか想像できない。
以前に所長に薦めていただいた『とんび』は、ティッシュペーパー1箱が無くなる勢いで嗚咽し、涙・鼻水ものでした。
今回も本の帯には「涙する」の文字があり、感動ものだろうと想像し読み始める。
若い二人の会話。
最初は涙よりクスクスと笑いがでる。
軽妙なやりとりに、ふむふむ上手い返しだと
病人との会話も、重くない彼の返しがとても勉強になる。
余命1年のさくら。
明るく快活、笑い声が、読み手にまで聞こえるよう。
しかし彼女の発言は、素晴らしい。
「死に直面して良かったこといえば、それだね。
毎日、生きてるって思って生きるようになった」
これはターミナルの人が「朝が来ると生きてたって実感する」という言葉をよく聞く、
「夜寝るときは、このまま目が開かないかと思った」との言葉と共に。
普通に生きている人は、生きるとか死ぬとかにあんまり興味がない。
その日を生きることに一生懸命、生きていくことが当たり前だからだろうと。
彼女から多くを学ぶ。
「偶然じゃない。自分で選んでここに来た。
自分が今まで選択した結果が、今ここにいる事実。自分の意思。」
今の家族、今の職場は自分で選んだ。
その結果。
まさしく、誰のせいにもできない。誰をを恨むわけにもいかない。
しかしこのストーリーの最後は、当然私のような凡人には想像がつかない。
まだ読まれていない同僚のために、内容は伏せるが…
伏線はあったが、まさかの彼女の最後。(ネタバレ?)
涙流さず読み終えそうだったのに…
ここからが、涙が止まらない。まさかのテイッシュペーパー&タオルの出番である。
読み終えて装丁のイラストを見ると、ああこの二人だった。
桜満開の下で1年の寿命が全うできていたならこの光景シーンがあっただろうにと。
私は、もう寿命の大半を生きてきた。
あとどのように私は、日々を生きていきたいだろうか。
やり残したことはないだろうか。
実は、以前に自分でもやり残したことはないかと考えた時期があった。
そして思いついた。テロで物騒な時期ではあったがフランス旅行を敢行した。
まだまだ行ってみたいところがあるが、最近はまだまだ寿命があると思えて先延ばしにしてしまっている。
遺言は特に残したい言葉はない。いつも自分の言葉で伝えている。
一つあるとすれば嫌ごとばかり行っている夫へ。
「いつもありがとう。感謝しています。」
これが、言えない(笑)
看護師 J・H